クロロフィルaの2位のメチル基がフォルミル基に置換したクロロフィル。Qy吸収ピークが,メタノール中で708 nm,ジエチルエーテル中で695 nmに検出され,クロロフィルaにくらべそれぞれ長波長側にシフトしている。オーストラリア・シャーク湾のストロマトライト表面の藻類マットから,遠赤色光培養によって生育したシアノバクテリアから検出されたクロロフィルとして2010年に報告された。2014年現在,シアノバクテリアにのみ報告され,他の真核藻類には検出されていない。シアノバクテリアにおいては誘導色素であり,白色光で培養された細胞には検出されない。このため,遠赤色光が優勢する環境におかれたシアノバクテリアにおいて,酸素発生型光合成を維持するために誘導される特別なクロロフィルであると考えられている。