グルタミン酸合成酵素[glutamate synthase]

 EC 1.4.7.1とEC 1.4.1.14. グルタミン合成酵素と共役し,無機態のアンモニウムイオンを同化してグルタミンからグルタミン酸を合成する反応を触媒する. 1974年に,単離葉緑体でグルタミンからグルタミン酸を合成する反応が発見されて以来,アンモニウムイオン同化の中心となる酵素に位置づけられた.グルタミン酸合成酵素(GOGAT)には,還元型フェレドキシン(Fd)を電子供与体とするFd-GOGATと, NADHを用いるNADH-GOGATの2種類があるが,緑葉ではFd-GOGATが主成分である.Fd-GOGATとプラスチド局在型グルタミン合成酵素は,同化的硝酸還元により生成するアンモニウムイオンの同化反応のほか,光呼吸でミトコンドリアから放出されるアンモニウムイオンの再同化に関わっており,C3植物では後者の反応が特に重要であることが欠損変異株を用いた研究などから示されている.根にもFd-GOGATは存在しており,Fdの還元はペントースリン酸経路で生じるNADPHを用いてFd-NADPレダクターゼが触媒する. NADH-GOGATは,未抽出葉や根の先端,成熟初期の子実などの若い器官に多く,イネでは老化器官からグルタミンの形で転流されてきた窒素の再利用反応と,根におけるアンモニウムイオン同化に機能していることが考えられている. Fd-GOGATは分子量約16万, NADH-GOGATは約20万の単一ポリペプチドから成る巨大なタンパク質である.ともに分子内電子伝達に関わる3Fe-4Sクラスターをもつフラボタンパク質であり,N末端側にグルタミン結合領域がある.NADH-GOGATではC末端側にNADH結合領域があり, Fd-GOGAT遺伝子にNADH結合領域を付加したような遺伝子構造をとっている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:55