サイトカイニン[cytokinin]

  植物ホルモンの一種.植物組織培養系の細胞分裂の促進物質として,DNAの熱分解生成物からカイネチンが単離された.植物生理活性として,カルスにおける葉と芽の形成誘導,腋芽の活性化,老化阻害,栄養の転流調節,細胞周期の調節,着果促進,果粒肥大作用などがある.アデニンの6位の窒素原子にイソペンテニル基をもつ構造が基本骨格で,側鎖のメチル基のトランスに水酸基が導入されたゼアチンが最も強い生理活性を示す.シス体は活性が弱い.9位の窒素にリボースの結合したもの,さらにリボースにリン酸基の結合したものも存在する. AMP, ADP, ATPがイソペンテニル転移酵素によりプレニル化されて生合成される. tRNAの分解によって生合成される経路も可能であるが,その寄与は小さいと考えられている.合成サイトカイニンとしてベンジルアデニンやチジアズロンがある.サイトカイニンは一般的に分裂組織,未熟種子,形成途上の維管束系で濃度が高い.植物病原菌のアグロバクテリアもサイトカイニンを生産して植物に腫瘍組織を形成させるが,その生合成経路は植物の経路とは異なる.サイトカイニンは根で生合成され,導管によって地上部に運ばれると考えられている.サイトカイニンの受容は突然変異体cre1の解析からHis-Aspリン酸リレー系のヒスチジンキナーゼに属するタンパク質によって受容されることが明らかになった.農業上はランのメリクロン培養,リンゴの増収に用いられている.

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Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:29:22 (1357d)

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