シクロフェオフォルビドエノール[cyclopheophorbide enol]

 水圏環境の水や泥試料などから検出されるクロロフィルの誘導体.ピロフェオフォルビドの構造(クロロフィルから中心に位置するMg原子が外れフィチル基とメトキシカルボニル基が脱離したもの)からさらに132位と173位の炭素が共有結合した,クロリン環構造に隣接する5員環と7員環を持つ基本骨格から構成される。5員環と7員環にまたがって,クロリン環と共役するエノール構造を有する.クロロフィルaから[[132,173-シクロフェオフォルビドaエノール]](132,173-cyclopheophorbide a enol; cPPB-aE),クロロフィルbから132,173-シクロフェオフォルビドbエノール(132,173-cyclopheophorbide b enol; cPPB-bE)を生じる.クロロフィルcの誘導体は知られていない.無蛍光性であり,cPPB-aEに関して光増感反応を全く示さないことが確認されている.これら化合物は,プロティスト(原生生物)が微細藻類を捕食する過程で生じることが知られており,プロティストによるクロロフィルの無毒化代謝産物であると考えられる。また,渦鞭毛植物では単藻培養条件でcPPB-aEの生成が確認される.有機溶媒に溶解した状態では,一般に,酸素存在下で非常に不安定なため,定量分析には嫌気的な条件下での実験操作が要求される.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:12