セミキノンラジカル[semiquinone radical]

  キノンが一電子還元された際に生じるラジカルアニオン.光化学反応中心初期電荷分離反応では,1光量子の吸収によって,電子受容体が一電子還元され,反応中心のクロロフィル自身は一電子酸化される.電子は電子伝達鎖を形成する酸化還元成分上を順次に移動する.したがって,キノン分子が電子受容体として電子伝達鎖上に存在する場合,一電子還元されたセミキノンラジカルが生じ,次の電子伝達成分に電子を渡して酸化型キノンに戻るか,または,さらに1光量子の吸収による電子移動反応によって二電子還元され,2つのプロトンを結合してキノールとなる.光化学系Ⅱにおいては,電子受容体として機能する2分子のプラストキノンのうち,第一キノン電子受容体QAは一電子還元を受けてセミキノンラジカルとなり, 第二キノン電子受容体QBを還元して,自らは酸化型キノンに戻る.一方,QBのセミキノンラジカルは,QAからさらにもう一電子を受け取りキノールとなる.光化学系Ⅰにおいても,電子受容体A1として働くナフトキノンは一電子還元されてセミキノンラジカルとなり,鉄硫黄クラスターX(FX)に電子を渡す.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:29