デンプンの多様性[variation of starch]

  デンプンは緑色植物が進化の過程で発明したα-ポリグルカンであり,アミロペクチンとアミロースからなる.アミロペクチンの平均鎖長(グルコース重合度(DP)=20~25)はグリコーゲン(DP=10~14)よりも長い,すなわちα-1,6-分岐結合の頻度はアミロペクチンのほうが低い.アミロペクチンの分子量は108~109のオーダーに及び,グリコーゲンよりも1桁は大きいとされる.

 大部分のシアノバクテリアはグリコーゲンを合成するが,稀にはグリコーゲンとアミロペクチンの中間の鎖長分布を示すものもある.灰色藻,紅藻ではすでにグリコーゲンとは明確に異なるα-ポリグルカンが細胞質に合成される.紅藻のα-ポリグルカン(紅藻デンプンとも呼ばれる)は鎖長分布からグリコーゲンとアミロペクチンの中間的な構造をしていると思われる.デンプン粒様の粒構造は見られるが,アミロペクチン構造の最大の特徴であるクラスター構造がすでに形成されているか否かは有効な判別法がないため不明である.多くの紅藻はアミロースを合成しない.クリプト藻や渦鞭毛藻ではアミロペクチンとアミロースからなるデンプン様のα-ポリグルカンが合成されるが研究例に乏しい.緑藻になると高等植物とほぼ同様のデンプンが葉緑体内部で合成される.アミロペクチンは高等植物と同様にクラスター構造を有し,アミロースも合成される.

 高等植物の貯蔵器官で蓄積されるデンプンは貯蔵デンプンと呼ばれ,一方葉緑体で合成されるデンプンは同化デンプンと呼ばれる.貯蔵デンプン粒は規則性の高い半結晶構造をしており,主としてアミロペクチンのクラスターを構成するα-1,4-鎖からなる二重らせんの配列・水分子の分布が異なることに起因するX線結晶回折像の違いにより,A型,B型,C型構造に分類される.この結晶性の違いはアミロペクチンクラスターの内部構造の違い,すなわち1クラスター当たりのα-1,4-鎖の数と鎖長,α-1,4-結合のクラスター内部の位置などの違いから生じる可能性が高い.穀類デンプンはA型,ジャガイモなどのイモ類や豆類デンプンはB型,A型とB型の混合型のC型デンプンにはハスやクリデンプンなどが知られ,それぞれ物性も異なり,用途により選別,利用されている.

関連項目


Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:30:19 (915d)

トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS