ペラゴ藻 [pelagophyceans]

 不等毛植物の一群であり,単細胞性(遊泳性または不動性)または群体や糸状体を形成する.細胞は裸,または細胞壁やテカ(細胞膜に密接した薄い細胞外被)で覆われる.細胞には黄褐色の葉緑体が1〜数個存在し,色素体ERと核膜は広く連続する.しばしば突出または埋没型のピレノイドをもち,ピレノイド基質にはときにチラコイドが貫通している.ガードルラメラをもつが,色素体核様体は散在型.クロロフィルはac1(ときに欠く),c2 をもち,ときにc3 も存在する.カロテノイドとしてはフコキサンチン,19'-ブタノイロキシフコキサンチン,ディアディノキサンチンディアトキサンチンゼアキサンチンおよびβ-カロテンが存在する.一部でギロキサンチンジエステルやε-カロテンが報告されている.

 遊泳細胞はテカ(前述)で覆われ,細胞腹面から生じる1本または2本の鞭毛をもつ.眼点を欠き,またほとんどの種は鞭毛膨潤部も欠く.特異なステロールとしてC30 4-デスメチルステロール(24-プロピリデネコレステロール)をもつ.アウレオコッカス(Aureococcus anophagefferens)において核ゲノム,色素体DNA塩基配列が報告されている.

 全て海産種であり,プランクトン性または底生性.熱帯沿岸域で巨視的な群体を形成するものがいる.ピコプランクトン性の種も含まれる.またアウレオコッカスやアウレオウンブラ(Aureoumbra)は沿岸域で大規模な赤潮(その色調からbrown tideとよばれる)を形成することがある.

 不等毛植物門の1綱,ペラゴ藻綱(Pelagophyceae)に分類される.おそらくディクティオカ藻の姉妹群である.古くは黄金色藻綱に分類されていたものが多い.上記の他にペラゴコッカス(Pelagococcus),サルシノクリシス(Sarcinochrysis),クリソネフォス(Chrysonephos)などを含む.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:24