ホスホエノールピルビン酸[phosphoenolpyruvate(PEP)]

  C3H5O6P,分子量168.0.解糖系の中間体であり,ホスホグリセリン酸イソメラーゼにより2-ホスホグリセリン酸から生成する.ピルビン酸キナーゼによりピルビン酸を生ずる.また,ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシラーゼにより,オキサロ酢酸(OAA)を生成する.また,PEP⇔OAAの反応は, PEPカルボキシキナーゼ(PEP-CK)によっても, ATPを消費して可逆的に起こる.最後の2つの反応は,いわゆるanaplerotic反応として, TCA回路の中間体を供給するものであるが,一般に細胞内のpH調節機構としても重要である.また, PEP特異的なリン酸トランスロケーターによって色素体に輸送され,シキミ酸経路の基質ともなる.C4ジカルボン酸回路では,最初のCO2固定反応の基質,および, PEP-CK (PCK)型C4植物の脱炭酸反応の産物として重要であり,前者は葉肉細胞葉緑体のピルビン酸・リン酸ジキナーゼによりピルビン酸から生成する.この場合は,上記輸送体により葉緑体から細胞質へ逆方向に輸送されると考えられる.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:45