ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ[phosphoenolpyruvate carboxykinase (ATP)]

  系統名は,ATP:オキサロ酢酸カルボキシリアーゼ(EC 4.1.1.49),略称は,PCKあるいは PEP-CK.
 Mn2+存在下でオキサロ酢酸(OAA)とATPからホスホエノールピルビン酸(PEP)と二酸化炭素を生成する反応を可逆的に触媒する酵素.微生物,植物に幅広く存在し,動物にはATPの代わりにGTP, ITP, PPiを用いる酵素が存在する.反応の平衡定数はほぼ1であるが,細胞内の二酸化炭素濃度が低いことと,酵素の二酸化炭素への親和性が低いことから,生理的にはOAAの脱炭酸反応を触媒する.
 植物においては,本酵素が以下に示す主に2つの生理的役割を担っている.一つは,脂質を糖に変換する,いわゆる糖新生における鍵酵素としての役割である.脂質貯蔵型の植物種子であるカボチャやキュウリにおいて,脂質の分解によって生じたアセチルCoAはグリオキシル酸回路によってC4ジカルボン酸となり,それから生じたOAAは本酵素の働きによりPEPに転換され,その後,糖新生系を経て糖となる.もう一つは,C4光合成植物のサブタイプの一つ, PEP-CK(PCK)型C4植物維管束鞘細胞において脱炭酸反応を担う役割である.葉肉細胞において固定された二酸化炭素はC4ジカルボン酸として維管束鞘細胞に運搬され,細胞質においてOAAに変換される.本酵素の働きでOAAの脱炭酸により生じた二酸化炭素が還元的ペントースリン酸回路内に取り込まれる. PEP-CK型C4植物のアフリカヒゲシバやウロクロア(Urochloa penicoides)から精製されたタンパク質は,分子量約6.4万のサブユニットで,六量体を形成し,3-ホスホグリセリン酸,フルクトース6-リン酸,およびフルクトース1,6-ビスリン酸などにより活性が阻害される.動物種のPEP-CKはアロステリックな活性調節因子を一切もたないとされ,植物のPEP-CKとは異なる.
大腸菌酵素の結晶構造が示されている.http://www.rcsb.org/pdb/explore/explore.do?structureId=2PXZ 

PCK.png

関連項目


Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:31:45 (1304d)

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