ホールバーニング法[hole burning method (technique)]

  平衡状態でも個々の多原子分子は,構成原子や溶媒のゆらぎによりそれぞれ微妙に異なったエネルギーレベル(局所的エネルギー最小状態)にあり,その総和としてマクロな吸収スペクトルなどが観察される.線幅の狭いレーザーなどで個別状態を選択励起して他の状態に移せば,狭い幅の孔がスペクトルに空くはずである.これを観測する方法をホールバーニング法と呼ぶ.たとえば,絶対零度近い温度で光合成色素タンパク質などをレーザー照射して生じるホールの幅は,励起状態の寿命の逆数に比例する.これを利用して反応中心やアンテナ色素の励起寿命が得られている.常温でも,振動緩和より早く測定を行えばホール形成を観測可能であり,タンパク質構造の振動緩和などを測定できる.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:36