マングローブ[mangrove]

  マングローブは,熱帯,亜熱帯の沿岸および河口近くに分布している樹木類の総称.マングローブ林全体をさす場合にも使われる.マングローブ植物は,全世界で100種を越える存在が知られている.汽水から海水までの高塩環境で生育する塩生植物の仲間である.代表的マングローブ種にオヒルギ,メヒルギ,ヒルギダマシなどがある.高塩環境への適応は,通常の塩生植物と同様に,浸透圧ストレスに対する適合溶質の合成とイオン吸収,塩ストレスに対する細胞質からの塩排出・隔離で行われる.葉表面に塩腺をもつ種もある.主に泥湿地に生育し,泥中の低酸素状態に適応した特徴的な根系を発達させ,根には通気組織が発達することが多い.繁殖子として胎生種子を形成する種がある.これまでの報告では,C3光合成を行うとされている.高塩環境下でも,光合成能の極端な低下がみられないことから,ガス交換と水代謝に高塩環境への適応が推定されているが,詳細は不明である.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:15