リン脂質の生合成[biosynthesis of phospholipid]

 植物のリン脂質の新規合成は,いわゆるケネディ経路(Kennedy Pathway)と呼ばれるグリセロール3-リン酸(G3P)のアシル化経路によるホスファチジン酸(PA)の合成によって始まる.植物細胞では,ケネディ経路で中心的に働くグリセロール-3-リン酸アシルトランスフェラーゼとリゾホスファチジン酸(LPA)アシルトランスフェラーゼが小胞体,色素体,ミトコンドリアにそれぞれが存在する.ホスファチジン酸から各種のリン脂質が生合成される経路は大きく分けて2つ存在する.一つは,ホスファチジン酸をCDP-ジアシルグリセロール(CDP-DG)に活性化したのち極性基を導入する経路であり, myo-イノシトールとCDP-DGからホスファチジルイノシトール(PI)が,またグリセロール3-リン酸とCDP-DGからホスホホスファチジルグリセロール(PGP)を介してホスファチジルグリセロール(PG)が合成される.もう一つは,ホスファチジン酸をジアシルグリセロール(DG)に変換したのちヌクレオチドに活性化した極性基と反応させる経路で,CDP-コリンとCDP-エタノールアミンがそれぞれDGと反応しホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)が合成される.植物細胞におけるホスファチジルセリン(PS)の合成に関しては曖昧な点がある.コムギではCDP-DGとセリンを基質とするホスファチジルセリン合成酵素をコードする遺伝子が単離されているが,これは真菌類の遺伝子と相同性が最も高いなど,不明な点が残る.また,シロイヌナズナゲノムにはその遺伝子ホモログが存在しない.シロイヌナズナのホスファチジルセリンはおそらく他のリン脂質の極性基をセリンで置換する経路で合成されると考えられる.以上のほか,ホスファチジルセリンを脱炭酸しホスファチジルエタノールアミンに変換するホスファチジルセリン脱炭酸酵素が知られている.

biosynthesis of phospholipid.png

Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:32:22 (1638d)

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