ルテニウム錯体[ruthenium complex]

  原子番号44,白金族元素の一つであるルテニウムに,種々の化合物が配位した錯体の総称.中心金属であるルテニウムの価数が0~+5である,様々な配位子をもつ錯体が報告されている.なかでも, 2,2'-ビピリジン(bpy)やその誘導体が3分子配位した八面体六配位のルテニウム(Ⅱ)錯体(Ru(bpy)32+)については,その性質がよく研究されている.この錯体の溶液は橙色~赤色を呈し,酸素をよく除くと室温においても強い発光を示す.この発光は,三重項MLCT (metal-to-ligand-charge-transfer)励起状態から生じ,その励起寿命は,1ミクロ秒程度とかなり長い.またこの錯体は,光化学的に比較的不活性(安定)であり,その酸化および還元状態も安定である.このような優れた性質を有するため,人工光合成などの光増感剤として用いられることが多い.ただし,強い酸性溶液中では,これらの錯体も光配位子交換反応を起こすことが知られている. Ru(bpy)32+の基底状態における酸化還元電位はそれぞれ,ERu(3+/2+) = 1.26 V, ERu(2+/+)=-1.26Vであるのに対し,その3MLCT励起状態では,E*Ru(3+/2+)-0.84 V, E*Ru(2+/+)=0.84 Vであり,励起されることにより酸化力・還元力の両方が大幅に強化されることがわかる.

ruthenium complex.png

Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:32:25 (1637d)

添付ファイル: fileruthenium complex.png 1351件 [詳細]

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