レポーター遺伝子[reporter gene]

  目的の因子の機能を知るために代用される遺伝子のこと.産物の活性が簡単に測定もしくは可視化でき,なおかつバックグラウンドが低いことが使用上の条件となる.遺伝子の発現様式を調べる場合には,目的遺伝子のプロモーター配列とレポーター遺伝子のキメラ遺伝子をパーティクルガンエレクトロポレーションあるいはアグロバクテリウムを利用して植物細胞へ導入したのち,簡便には一過性に発現したレポーター活性を測定することで,また形質転換植物を作製すれば,目的遺伝子の発現組織・時期の特定などが可能.目的遺伝子とレポーター遺伝子を融合タンパク質として発現できるようにした遺伝子を植物細胞へ導入すれば,タンパク質の細胞内局在,あるいは細胞外移行などを調べることができる.
 代表的なレポーター遺伝子としては,GFP(greenfluorescent protein), GUS(β-グルクロニダーゼ),LUC(ルシフェラーゼ)などがある.オワンクラゲ由来のGFPは,プロモーター解析と局在解析のいずれにも利用可能で,励起光を照射するだけで緑色の蛍光を発するので生体観察に適している.GUSは大腸菌由来で,プロモーター解析に最も一般的に用いられてきたレポーター遺伝子である.GUS遺伝子産物は安定だが,活性の獲得に四量体形成が必要で,通常染色前には固定処理をする.ホタル由来のLUCは,非破壊的に検出可能で,なおかつ生体内での半減期が短いので転写量の変化を検討するのに適している.ただし検出には特殊な高感度CCDカメラなどが必要となる.一過性発現系の場合には,ウミシイタケ由来のRluc (Renilla ルシフェラーゼ)を併用すれば,同一試験管内の測定で遺伝子の導入効率を補正可能.これら以外にlacZ(β-ガラクトシダーゼ), CAT (クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)などがレポーター遺伝子として使用されている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:00