二成分制御系[two-component regulatory system]

 最初細菌で見つけられた環境応答・細胞内情報制御系で,2種類のタンパク質が関与していることから命名された.一つはセンサータンパク質(センサーキナーゼともいう)で,環境変化などを関知する働きをもつ.もう一つはレギュレータータンパク質(レスポンスレギュレーターともいう)で,反応応答において遺伝子の発現制御などを行う.センサータンパク質は活性部位にヒスチジン残基をもち環境変化などに応じて自己リン酸化を行うヒスチジンキナーゼの一種である.外界からの刺激によってリン酸化されたセンサータンパク質のヒスチジン残基のリン酸はレギュレータータンパク質のアスパラギン酸残基へ転移し,レギュレータータンパク質の活性を調節する.当初は細菌に特異的な細胞内情報伝達系と考えられていたが,現在では類似の系が高等植物,酵母やカビにも存在していることが知られている.高等植物で代表的な例として,エチレンサイトカイニンのHis-Aspリン酸リレー系がある.高等植物ではセンサータンパク質とレギュレータータンパク質が1つの遺伝子にコードされているものもあり,進化の過程で2つのタンパク質遺伝子が1つの遺伝子へと融合したものと考えられる

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:17