個体の光合成[photosynthesis of individual plant]

 一部の種を除き,個体において光合成をする器官は葉である.茎や繁殖器官なども,葉緑体をもつ細胞があれば光合成を行うが,その光合成量が重要な役割をもつ種は多くない.したがって,個体がどれだけ光合成を行えるかは,どれだけ葉をもてるかに依存する.しかし,ある程度の量の根をもたなければ,光合成に必要な水分や栄養塩の吸収ができない.特に,水分や栄養塩が不足している条件では根へのバイオマス投資を多くする必要がある.また,茎は効率のよい受光のためにも必要である.個体の葉の数が多い場合,自己被陰を避けるためには空間的に効率よく配置することが必要である.また,隣接個体と光をめぐる競争をする場合は,葉を高い位置にもつことが有利である.そのためには高い茎をつくる必要がある.植物における器官間のバイオマス分配は状況に応じて厳密に制御されており,これらの変化は個体の適応度に貢献していると考えられている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:05