微生物マット[microbial mat]

 微生物マットは,石や岩,底泥や土壌などの固体と,水相や気相との界面に形成される微生物群集である。撹乱の少ない安定した環境に形成される微生物マットは,異なる微生物によって形成されるバイオフィルムが層状に積層する。それぞれの層は,酸素濃度,栄養塩濃度,光質,電子供与体や受容体の種類と濃度など微環境が異なる。そのため,それぞれの微環境に特定の微生物が優勢することにより,結果的に層状構造が形成される。また,相互に代謝物質のやりとりをすることによって,全体として代謝共同体としての生態系を形成している。
 可視光の存在する60℃以下の水中の微生物マットには,微細藻類やシアノバクテリアを表層の主要な構成者とするものが多い。このような微生物マットを藻類マットと呼ぶこともある。安定したマット形成には,糸状体細胞や細胞外粘質物質を分泌する細胞の存在が重要である。群体や単細胞体の藻類シアノバクテリアは,それらのマトリックス中に混在する形で存在する。表層の藻類シアノバクテリア層の下は,可視光のうちクロロフィルaフィコビリンが吸収する可視光が欠乏し,また,酸素濃度が低下することから,光合成細菌が優勢することが多い。充分な流水等によって嫌気環境になりにくい環境で,かつ,45-60℃程度の高温環境や高pHなどの特殊環境では、単一のシアノバクテリアによって数cm程度の厚いマットが形成されることもある。


Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:34:52 (1610d)

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