植物の光合成や呼吸活性が低下し生存が脅かされている状態をストレス状態と呼び,ストレス状態をもたらす原因をストレスと呼ぶ.ストレスには,温度,光,水,塩,人工化学物質,内生化学物質などの物理化学的(あるいは非生物的, abiotic)ストレスと,病原菌感染,動物による食害,種間競争など生物間相互作用による生物学的(biotic)ストレスがある.温度ストレスは,高温ストレスと低温ストレスを含むが,後者をさらに冷温ストレスと凍結ストレスに分けることもある.植物が温度ストレスを受ける温度域は遺伝的に決まっている.熱帯・亜熱帯起源の植物は,0~15℃の低温ストレスで低温傷害を受ける.凍結ストレスは,凍結環境がもたらす物理的環境や特殊な細胞内生理環境によるところが大きく,純粋な意味の温度ストレスとは異なると考えられる.