熱ショックタンパク質[heat shock protein]

  生物が通常の生育温度より5~20℃高い温度に曝されたとき,細胞内に多量に合成される一群のタンパク質を熱ショックタンパク質(heat shock protein,HSP)という.他のストレス因子(電子伝達阻害剤,重金属,エタノール,活性酸素種など)によっても発現が誘導されるため,ストレスタンパク質とも呼ばれる.分子量や機能によっていくつかのファミリーに分類され,主要なものはアミノ酸配列がよく保存され,細菌から高等植物に至るまで広く存在する.代表的なものとしてHSP60とHSP10, Hsp70,HSP90, HSP100などのファミリー(それぞれ大腸菌のGroELとGroES, DnaK, HtpG, ClpBに対応),および最も多様性のみられる15~30 kDa の低分子量HSPがあり,それぞれに細胞質,細胞核,ミトコンドリア,葉緑体,小胞体などに局在するものがある.
 熱ショックタンパク質にはストレスによって部分的に変性したタンパク質の疎水領域に結合して凝集を防ぎ,さらに本来の構造へのフォールディング(折りたたみ)を介助する作用があり,高温ストレスや他の環境ストレスに対する耐性の獲得に重要な働きをする.その他に,翻訳直後のタンパク質のフォールディング,膜内輸送に適合した構造への変換など分子シャペロンとして機能する. HSP60の葉緑体局在型は, Rubisco (ルビスコ)大サブユニット結合タンパク質として多量体形成に働く.熱ショックタンパク質の遺伝子発現は一様ではないが,たとえば,真核生物のHSP70の場合,熱ショック因子(heat shock factor)が遺伝子Iこ流の熱ショックエレメント(heat shock element)に結合することによって正の調節を受け,細菌のGroELの発現はRNAポリメラーゼのσ因子の翻訳レベルでの制御を受ける.また一定量が構成的に発現されているものもある.

関連項目


Last-modified: 2015-03-30 (月) 14:56:10 (1023d)

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