膜脂質[membrane lipid]

  生体膜を構成する脂質(膜脂質)は,一般的に分子内に疎水性部分と親水性部分の両方をもつ両親媒性の構造を有しており(極性脂質),このような性質から脂質二重層を形成して,膜脂質として機能している.膜脂質の主要成分としてグリセロ糖脂質,グリセロリン脂質,スフィンゴ脂質ステロールなどがある.これらの脂質のなかでも植物細胞で最も主要な膜脂質はグリセロール骨格に脂肪酸がエステル結合したグリセロ糖脂質とグリセロリン脂質で,グリセロ糖脂質は極性部分としてグリセロール骨格の3位(sn-3)に糖をもち,グリセロリン脂質はsn-3位にリン酸基を有している.動物細胞の細胞膜やオルガネラ膜ではグリセロリン脂質が膜を構成する主要成分であるが,高等植物の葉緑体膜やシアノバクテリアのチラコイド膜などでは膜脂質の80%以上がグリセロ糖脂質から成っている.また,クラミドモナスのようにリン脂質(ホスファチジルコリン)の代わりにベタイン脂質(DGTS)が主要膜脂質として機能しているような例もある.高等植物では膜脂質の合成は主に色素体と小胞体で行われる.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:48