膜脂質の生合成[biosynthesis of membrane lipid]

 膜脂質の主要成分であるグリセロ糖脂質とグリセロリン脂質の合成は,大きく分けて脂肪酸の合成,脂肪酸のグリセロール骨格への導入,グリセロール骨格への極性基の導入の3つの段階がある(下図).高等植物においては脂肪酸の合成は主に色素体で行われる.色素体で合成される脂肪酸は主に18:0と16:0で,18:0はさらにストロマに局在するステアロイルACPデサチュラーゼにより9位に不飽和化を受けて18:1となる.脂肪酸はストロマ内でアシルキャリヤータンパク質(ACP)と結合した形で存在しており,18:1-ACP と16:0-ACPがストロマ内の脂肪酸の主要なプールとなっている.これらの脂肪酸は色素体内か細胞質のいずれかでグリセロール骨格に取り込まれる.色素体の脂質には合成の主要な場所が異なる2つの経路があり,それらの経路の内,脂肪酸がプラスチド内でグリセロール骨格に取り込まれる経路を原核型経路という.特にsn-2位に脂肪酸を取り込む色素体型リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼの基質特異性から,原核型経路で合成された脂質はsn-2位に炭素鎖16の脂肪酸を有しており,原核型脂質と呼ばれる.プラスチドの主要脂質であるモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)においては,原核型MGDGの多くがsn-2位に結合している脂肪酸が高度に不飽和化されて16:3となっている.一方,色素体で合成された脂肪酸(アシルACP)が色素体包膜でアシルCoA合成酵素によりアシルCoAに変換され,色素体外に出て小胞体膜(ER)でグリセロール骨格に取り込まれる経路を真核型経路という.真核型経路で合成された脂質はsn-2位に炭素鎖18の脂肪酸を有しており,真核型脂質と呼ばれる. MGDGの場合sn-2位に結合した脂肪酸のほとんどは不飽和化されて18:3となっている.ホウレンソウやシロイヌナズナなどの植物は真核型経路と原核型経路の両方をもち,真核型脂質と原核型脂質の両方が含まれる.このような植物を16:3植物という.一方,キュウリやトウモロコシ,イネなどでは真核型経路しかもたず,このような植物を18:3植物と呼ぶ.葉緑体脂質は色素体で,その他の脂質は主に小胞体で極性頭部が導入される.

biosynthesis of membrane lipid.png

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Last-modified: 2015-03-27 (金) 17:43:49 (1606d)

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