葉緑体タンパク質の合成[chloroplast protein synthesis]

  葉緑体に含まれるタンパク質の合成は,大きく2つに分けられる.葉緑体ゲノムにコードされるタンパク質は葉緑体内で合成され,核ゲノムにコードされるタンパク質は細胞質ゾルで合成されたのちタンパク質が葉緑体内へ輸送される.
 葉緑体内でのタンパク質合成は70Sのリボソーム上で行われ,ストロマタンパク質はストロマ内のポリソームで,膜タンパク質はチラコイド膜結合ポリソームで合成が進行する.葉緑体内のタンパク質合成は70Sリボソームに作用するクロラムフェニコールで阻害されるが, 80Sリボソームに作用するシクロヘキシミドでは阻害されない.リボソームを構成するリボソームRNAおよびリボソームタンパク質の構成や構造は原核生物とよく似ているが,葉緑体にしかみられないリボソームタンパク質も存在する.その他のタンパク質合成に関わる因子も原核生物のものと類似しており,葉緑体内では原核生物と類似した装置によってタンパク質合成が進行している.タンパク質合成の開始は,原核生物と同様に開始コドン上流のSD (Shine-Dalgarno)配列に依存しているものが多いが,葉緑体では明確なSD配列をもたない遺伝子も多く存在しており,葉緑体特有の翻訳開始機構が存在すると考えられている.クラミドモナスやシロイヌナズナ,トウモロコシでは特定の遺伝子だけ翻訳できない変異体が各種単離されており,タンパク質合成の開始には遺伝子ごとに異なる因子が関わっている.その多くは,PPRタンパク質など配列特異的なRNA結合タンパク質である.光合成系遺伝子の翻訳は光によって調節されていることが知られており,その調節はタンパク質合成の開始段階や伸長段階など様々で,その調節機構はpsbApsaAなどで詳しく調べられている.細胞質ゾルでのタンパク質合成は80Sのリボソーム上で行われている.その翻訳段階での調節については,フェレドキシン遺伝子の光による翻訳活性化などが詳しく研究されている.


Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:37:03 (1644d)

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