電子スピンエコーエンベロープ変調[electronspin echo envelope modulation (ESEEM)]

  パルスを複数かけた場合,それらの時間間隔によりスピンエコーの強度が変調を受けることをいう.1個の電子スピンが不特定大多数の他のスピンと磁気的な相互作用をしている場合,電子スピンエコーはスピン-スピン緩和時間で指数関数的に強度が減衰するが,特定の核と超微細構造相互作用するときは減衰曲線は振幅変調を表す.その変調をフーリエ変換してスペクトル分解することより相互作用定数が決定できる.陽子核との超微細相互作川や双極子相互作用,また窒素核などの核四重極相互作用の解析により,電子スピンと結合しているアミノ酸を特定することも可能である.プラストキノンとヒスチジンとの相互作用を示した例や,S2状態マンガンクラスターにNH3が結合している可能性を示した例などがある.光照射によりスピン偏極したラジカル対は双極子相互作用を表す変調を示し,これよりP860-QA, P700-A1, P680-QA間などの距離が26~29Åの高精度で決定されている.


トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:15