電子-核二重共鳴[electron nuclear double resonance (ENDOR)]

  電子および核の磁気共鳴に対応する2つの周波数の電磁波を用いて観測する方法. Feherが固体物理の分野でEPRを研究する際,電子スピン共鳴を飽和させ核磁気共鳴(NMR)周波数を掃引すると,共鳴したときに飽和が解け,強度を回復する現象を利用して,幅広い共鳴線の分解能を向上する方法を考案した. NMRをEPRの感度で観測することにより,通常NMRでは観測できない感度の向上にも役立っている.後に光合成細菌の研究で,反応中心クロロフィルの超微細構造定数が単量体の半分になることを発見し,これが反応中心が二量体であることを提案した動機となっている.光化学系Ⅰでは, ENDORより観測される超微細構造でスピン分布が片方のクロロフィル上に片寄っていることが示さわている.光化学系Ⅱはさらにその傾向が強い.近隣核との双極子相互作用は距離情報を提供する.問題の電子スピンの分布から,関与する分子の化学結合と局所構造を調べる手段となっている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:33