ATPase阻害剤[ATPase inhibitor]

  ATPaseには,酵素ごとに特異的な阻害剤が存在する. ATPを基質とする酵素を阻害する最も一般的な化合物は,加水分解されないATPアナログであり,加水分解されるリン酸エステル結合の酸素原子が窒素原子に置き換わっているアデニリルイミド二リン酸(AMP-PNP))がよく知られている.F型ATPaseであるFoF1-ATPase に対する阻害剤としては,プロトン輸送部位を阻害するジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD),トリブチル錫,抗生物質であるベンチュリシジンやオリゴマイシン,F1部分に結合して活性を阻害する抗生物質であるオーロベルチン,多くの植物由来のF1を特異的に阻害する環状テトラペプチドであるテントキシンなどがある.P型ATPaseであるNa+, K+-ATPaseの阻害剤としてはウワバインが,F型ATPaseとよく似た構造をもつV型ATPaseではバナジン酸がよく知られている.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:48