一般には,炭素数4の化合物という意味であるが,光合成分野では,C4ジカルボン酸回路の初期CO2固定産物,およびベンケイソウ型有機酸代謝(CAM)の夜間のCO2固定産物としてのジカルボン酸をさす.大気中のCO2は重炭酸イオンを経てPEPカルボキシラーゼによりC4化合物であるオキサロ酢酸に固定される.C4植物の場合,葉肉細胞から維管束鞘細胞へ原形質連絡を通じて輸送される化合物形態は,C4植物サブタイプにより異なる.いずれもC4化合物であるがNADP-ME型C4植物では主としてリンゴ酸,NAD-ME型C4植物およびPEP-CK(PCK)型C4植物では主としてアスパラギン酸がこれを担う.CAM植物では夜間,リンゴ酸が液胞に蓄積する.C4植物,CAM植物とも脱炭酸後はC3化合物になりホスホエノールピルビン酸(PEP)に再生後,再びPEPカルボキシラーゼによってC4ジカルボン酸に固定される.