D1タンパク質のプロセシング[processing of D1protein]

  前駆体として合成されたD1タンパク質は,C末端プロセシングプロテアーゼ(CtpAまたはDIP)の作用により,8~16残基のアミノ酸より成るカルボキシル末端(C末端)延長配列が切断除去されて成熟化する.この過程をD1タンパク質のプロセシングと呼ぶ.プロセシング過程に関与するプロテアーゼは, SerとLysを活性中心とするタイプのセリン型酵素であり、その触媒作用は通常のセリン型プロテアーゼ阻害剤の影響を受けない.真核生物の場合,このプロセシング酵素(ctpA遺伝子産物)は核にコードされており,細菌のプロテアーゼの1種であるTsp (Tail specificprotease)と相同性が高い.シロイヌナズナにおいては3つのCtpAホモログが存在するが、このうちひとつCtpA2がD1タンパク質のプロセッシングに重要であると考えられている. プロセシングにより延長部分が除去された成熟体D1タンパク質のC末端は,光化学系Ⅱにおいて水分解の触媒中心として機能するマンガンクラスターに配位している可能性が強く,プロセシングはマンガンクラスターの形成に不可欠である.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:51