NADP-ME型C4植物[NADP-ME type C4 plant]

 NADP-リンゴ酸酵素(NADP-ME)を脱炭酸酵素とするC4植物サブタイプで,単子葉植物に多く,イネ科(サトウキビ,トウモロコシ,モロコシ,ヒエ,アワ,ハトムギ,メヒシバ,ススキ)やカヤツリグサ科(ハマスゲ,テンツキなど),少数だが双子葉植物でもアカザ科(ホウキギ,センニチコウ),トウダイグサ科コニシキソウなどがある.維管束鞘細胞(BSC)葉緑体は葉肉細胞(MC)側に配置し,チラコイドはグラナ構造が未発達で,光化学系Ⅱと酸素発生系も少ない.そのためC3回路の還元段階に必要なNADPHが不足し,一部はNADP-MEにより補うが,残りの3-ホスホグリセリン酸はMC葉緑体に移動して還元される. NADP-ME型C4回路はMC, BSCともに葉緑体の役割が大きく,それぞれの葉緑体でできたリンゴ酸ピルビン酸がMCとBSC間を往復する.また, BSC葉緑体に共存するNADP-MEとC3回路が協調するため,C3植物や他のC4植物サブタイプでみられる消光直後のCO2放出(PICB)はない.
 単子葉植物での研究モデル植物として,エノコログサ(Setaria italica)が提唱されており,全ゲノム配列の解析や,mRNA解析,遺伝子導入技術の確立などが報告されている.モロコシでも全ゲノム配列が解析されている.双子葉植物では,フラベリア属のC4植物種(Flaveria bidentis)において比較的容易な形質転換技術が確立されている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:10