植生による'総一次生産(Pg)に対する純一次生産(Pn)の比率.つまり全CO2固定における乾物に転換された割合で,呼吸消費が増えるほどこの比は小さくなる.生物圏全体のPn/Pg比は約50%と考えられているが,生態系のタイプや成長段階で値は大きく変化する.一般に,幹をもたない草本群落では45~65%と高い値をとる.逆に,幹などの非同化器官が大きい森林では,その呼吸消費のためにPn/Pg比は低くなりがちである.特に大きな樹体バイオマスをもち呼吸活性も高い熱帯多雨林では,Pn/Pg比は25%程度まで低下することもある.同じ森林でも,若齢林から成熟林へと非同化器官が増加するに従いPn/Pg比は一般に低下する(生産力自体も低下する傾向がある).葉による呼吸消費も割合的に大きいため,個葉レベルの純光合成/総光合成の比率もPn/Pg比を決定する一要因である.キャノピー閉鎖後は葉量と日射の吸収量は一定化する傾向があるので,Pn/Pg比の低下は乾物ベースの日射エネルギー利用効率の低下を意味している.