#freeze
*FRAP [#m4f2c402]
 fluorescence recovery after photobleachingの略.光退色後蛍光回復.観測領域における特定の蛍光分子を強い励起光によって不可逆的に退色(フォトブリーチ)させ,その後,同じ領域の蛍光強度の回復度合いを測定することで,領域外からの分子の移動速度を見積もる方法.蛍光分子の動きが小さい場合,蛍光強度は回復しない.蛍光分子の動きが大きい場合,その速度に応じて蛍光強度が回復する.蛍光分子の動態をミリ秒から数時間以上にわたって定量的に解析できる.市販の[[共焦点蛍光顕微鏡]]を用いて比較的簡単に測定値を導きだすことができる.しかし,分子の拡散を決定する要因は極めて複雑であるため,観測する蛍光分子の特性や観察条件など十分に考慮し理解する必要がある.一般的に,特定の領域内に存在する全ての蛍光分子を瞬時にフォトブリーチすることを前提としているため,速い分子拡散を解析する場合,観測条件など厳密に検討しなければならない.またブリーチ自体が細胞に与える影響も分かっていない.解析に使う数学的モデル式のほとんどは,1次元もしくは2次元空間において分子が均一に存在している状態を想定しているため,複雑な3次元空間(葉緑体チラコイド膜など)の測定では注意が必要である.同じく分子の拡散速度を測定する方法として[[FCS]]が知られている.FRAPとFCSを用いて全く同じものを同じ空間スケールで測定した場合,理論的にはどちらも同じ測定値を示すはずである.しかし,実際にはFRAPとFCSの双方に最適な観察条件が同じになることはほとんどないため,しばしば測定値の相違は生じる.[[クロロフィルの蛍光]]における観測例が双方とも非常に少ないため,解析結果の集積が今後まだ必要な状況である.


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS