#freeze
*ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ[phosphoenolpyruvate carboxykinase (ATP)] [#h1b29532]
  	
系統名は,ATP:オキサロ酢酸カルボキシリアーゼ(EC 4.1.1.49),略称は,PCKあるいは PEP-CK. 
&br; Mn&supsc(2+);存在下で[[オキサロ酢酸]](OAA)とATPから[[ホスホエノールピルビン酸]](PEP)と二酸化炭素を生成する反応を可逆的に触媒する酵素.微生物,植物に幅広く存在し,動物にはATPの代わりにGTP, ITP, PPiを用いる酵素が存在する.反応の平衡定数はほぼ1であるが,細胞内の二酸化炭素濃度が低いことと,酵素の二酸化炭素への親和性が低いことから,生理的にはOAAの脱炭酸反応を触媒する.
&br; 植物においては,本酵素が以下に示す主に2つの生理的役割を担っている.一つは,脂質を糖に変換する,いわゆる糖新生における鍵酵素としての役割である.脂質貯蔵型の植物種子であるカボチャやキュウリにおいて,脂質の分解によって生じたアセチルCoAは[[グリオキシル酸回路]]によってC&subsc(4);ジカルボン酸となり,それから生じたOAAは本酵素の働きによりPEPに転換され,その後,糖新生系を経て糖となる.もう一つは,C&subsc(4);光合成植物のサブタイプの一つ, [[PEP-CK(PCK)型C&subsc(4);植物>PEP-CK(PCK)型C4植物]]の[[維管束鞘細胞]]において脱炭酸反応を担う役割である.[[葉肉細胞]]において固定された二酸化炭素はC&subsc(4);ジカルボン酸として維管束鞘細胞に運搬され,細胞質においてOAAに変換される.本酵素の働きでOAAの脱炭酸により生じた二酸化炭素が[[還元的ペントースリン酸回路]]内に取り込まれる. PEP-CK型C&subsc(4);植物のアフリカヒゲシバやウロクロア('''Urochloa penicoides''')から精製されたタンパク質は,分子量約6.4万のサブユニットで,六量体を形成し,3-ホスホグリセリン酸,フルクトース6-リン酸,およびフルクトース1,6-ビスリン酸などにより活性が阻害される.動物種のPEP-CKはアロステリックな活性調節因子を一切もたないとされ,植物のPEP-CKとは異なる.&br;大腸菌酵素の結晶構造が示されている.http://www.rcsb.org/pdb/explore/explore.do?structureId=2PXZ &br;


#ref(PCK.png)


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[PEP-CK(PCK)型C&subsc(4);植物>PEP-CK(PCK)型C4植物]]
-[[PEP-CK(PCK)型CAM植物]]

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