#freeze
*真核光合成生物[photosynthetic eukaryote] [#i156c34d]
  真核生物のうち,[[葉緑体]]をもつ生物群の総称.緑色陸上植物と真核藻類のすべてを含む.陸上植物はコケ植物門,シダ植物門,裸子植物門,被子植物門から成り,系統的には[[緑色植物]]門(特に車軸藻綱)から派生した単系統群と理解される.したがって,葉緑体が二重包膜であること,クロロフィル'''a''',bを有すること,デンプンが葉緑体中に蓄積されることなどの基本的特徴は緑色植物門と共通である.一方,[[藻類]]は系統的に異なる群を含む概念で,形態,生態,光合成色素組成などは互いに大きく異なっている.分類学的には,緑色植物門(プラシノ藻類,緑藻類,車軸藻類など),[[紅色植物]]門(紅藻類),[[灰色植物]]門(灰色藻類),[[クリプト植物]]門(クリプト藻類),[[渦鞭毛植物]]門(渦鞭毛藻類),[[不等毛植物]]門([[黄金色藻類]],[[褐藻]]類,[[珪藻]]類など),[[ハプト植物]]門(ハプト藻類),[[ユーグレナ]]植物門(ユーグレナ藻類=ミドリムシ類),クロララクニオン植物門([[クロララクニオン藻]]類)の9門に分類される.&br; 葉緑体をもつという特徴は共有するものの,これら藻類どうしには必ずしも系統的つながりはなく,むしろ同じ系統群でありながら,ユーグレナ藻類とキネトプラスト類([[ユーグレノゾア]]),不等毛植物類とラビリンチュラ類([[ストラメノパイル]]),渦鞭毛藻類と繊毛虫類([[アルベオラータ]])の場合のように葉緑体をもつ群(藻類)ともたない群(原生動物)の近縁性が示されている場合も多い.このような現象は,二次共生による葉緑体の獲得が複数回生じたことによるものと理解されている(→葉緑体の起源).また,藻類の系統の中には二次的に葉緑体を失ったものも少なからず存在するので,葉緑体の有無から系統関係を推定する際には注意が必要である.

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