rbcS

 rbcS リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ribulose 1,5-bisphosphatecarboxylase/oxygenase, Rubisco)を構成するSサブユニット(小サブユニット)の遺伝子.Sサブユニットには,酵素反応触媒部位はない. rbcS遺伝子(rbc:ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase)は,Lサブユニットのみから成るRubiscoを有する無酸素古細菌類,紅色細菌/Rhodo-spirillium rubrum,および渦鞭藻類などを除き,還元的ペントースリン酸回路を有するすべての原核・真核光合成生物および化学合成細菌に存在する.Rubiscoについては,その重要性とタンパク質産物含量が高いという実験上の利点から,研究が進展した. 1980年に,エンドウのSサブユニットmRNAに対するcDNAのクローニングが発表され,これは,高等植物からの核コードタンパク質cDNAクローニングの最初の例となった.原核生物,原始紅藻類シアネル,およびクリプト藻類葉緑体においては,'rbcL-rbcS'オペロンとして存在し,光合成細菌および化学合成細菌においては,1ゲノム当たり2セット存在する.また,細菌においては, cbbS (cbb,Calvin-Benson-Bassham cycle)とも表記される.原始紅藻類,クリプト藻類,および渦鞭藻類を除く真核光合成生物においては,核ゲノムにコードされている.核コード,rbcSは,RbcSとの表記が推奨され,特に変異型遺伝子と区別したい場合は, RBCSと表記する.
 rbcSは,生物界を通じて,互いにハイブリダイゼーションする程度の相同性が保存されている.核遺伝子は,RbcS遺伝子ファミリーを構成する.それぞれの植物種のRbcS遺伝子メンバー間の相同性は,他植物種RbcSとの相同性より高い場合が多く,したがって,進化のかなり遅い時期に,それぞれ遺伝子重複が生じ,遺伝子ファミリーが形成されたと推定される.シロイヌナズナにおいては,4コピー存在し,それらのうち3コピーが隣接する.これらは,180~181アミノ酸をコードし,そのうちN末端側の55アミノ酸は葉緑体への移行のためのトランジットペプチドである.維管束植物においては,光に依存し,緑色組織特異的に転写される.転写制御因子として, ASF-2, AT-1, GA-1, GBF, GT-1, LRF-1,およびTFIIDが報告されている.また, 3'poly (A)がmRNAの安定性に重要であることが知られている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:37