コラム陽だまり 第43回

昔のアルバム

思い出

カメラと言えば今はデジカメですから撮った写真をパソコンに保存しておいていつでも見ることができますし、時がたったからと言って色がセピア色になることもありません。園池家はまだ使えるものを買い替えることがなかなかできない家系なので、フィルムのカメラに別れを告げてデジカメが導入されたのは2001年になってからでした。この年は、国際光合成会議がオーストラリアのブリズベンで開催され、そのサテライト会議でグレートバリアリーフのヘロン島を訪れることになったのがきっかけでした。せっかくサンゴ礁とダイビングで有名な島に行くのならデジタルで記録したいと思ったわけです。この時に撮ったサンゴ礁の海を背景にして流木に腰かけた写真は、実物との解離が目立つようになるまでの間、ホームページのトップを飾っていました。撮った写真をすぐにホームページに載せられるというのは、当時としては便利になったなあと思ったものです。

それ以前に撮られた写真は当然ながら全てプリントです。このいわば「二十世紀の遺物」をそのままにしておくとどんどん傷むだろうということで、手元にあった1,200枚ほどの写真を最近全てデジタル化してもらいました。CDに焼かれたものをまとめてみると、懐かしい写真がたくさんあります。手元に残っているのは、高校以後の写真が主なのですが、面白いことに、高校や大学学部時代に友人と写っている写真が存在しません。大学院に進学して以降の写真は存在するのですが。誰にも写真を撮られるのを嫌がる年頃というのがありますから、そのせいかもしれませんが、この場合、大学生にもなって?という気がします。単に極めて非社交的な学生だった、という理由である可能性の方が高そうです。いずれにせよ、その後卒業研究で研究室に入り、大学院に進学して以降は、人付き合いの悪さもおさまったようで、急に写真の数が増えます。特に目立つのがスキーの写真です。確かに思い返せば、その頃は、複数の研究室の有志で、一冬に一度はスキー旅行に行ったものです。今の学生を見ていると、スキーはもちろんスノボでも毎年みんなで行くという感じではありませんから、これも時代の移り変わりですね。

もう一つ移り変わるのが何と言っても写っている人の若さです。いずれも少し前に定年を迎えられた、兵庫県立大学のSさんや東京理科大学のEさんと一緒に旅行している写真を見ると、その若々しさに驚かされます。三十年近く前のことですから無理もありません。自分自身にしても、当時の紅顔の美青年の面影は今やなく、Facebookのプロフィール写真も6年前のものから更新する気になれない状態です。そんな中にあって、妻の雰囲気は二十年たってもあまり変わっていないという(家庭内での)もっぱらの評判です。さてここで、もし永遠の若さをイメージされた方があったら、同じ前提条件を満たすもう一つの可能性を論理的に考えてみてくださいね。

2014.02.17(文:園池公毅/イラスト:立川有佳)