エネルギー脱共役[energy uncoupling]

  除共役ともいう.ある自由エネルギーの減少する反応で他の化学反応,輸送,力学反応などを駆動することを共役といい,このような2つの反応を切り離すことを広義の脱共役というが,通常この用語は酸化的リン酸化において,電子伝達で得られたエネルギーがATP合成反応に共役するのを阻害する場合に用いられる.酸化的リン酸化では,電子伝達のエネルギーが膜内外の*プロトン(H+)の電気化学ポテンシャル差(ΔμH+)として蓄えられる.このΔμH+ATP合成酵素を駆動してATPを合成するが,膜のΔμH+を減少させるような操作を行えば脱共役が起こる.脱共役が起これば,電子伝達は促進され,同時にATP加水分解活性も現れる.脱共役を起こす脱共役剤は生体膜のH+透過性を上昇させる脂溶性の弱酸であることが多い.ΔμH+の保持にはH+に対して不透過牲の膜構造が必要であるから,膜構造を破壊するような界面活性剤はすべて脱共役作用をもっている.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:23