スーパーイクスチェンジモデル[super-exchangemodel]

  電子移動反応が起こるためにはドナーとアクセプターの電子波動関数の間に重なりができる必要があり,これに関連する項を電子因子という.電子移動速度は,この電子因子と,原子核の運動に関係する項である核因子との積で決まり,核因子についてはマーカス理論で記述される.ドナーとアクセプターが遠く離れている場合でも,これらの分子軌道が媒体分子の分子軌道と混成し,波動関数の重なりが増すことによって長距離電子移動が可能となる.このような機構をスーパーイクスチェンジ(超交換)モデルという.このモデルでは,ドナーからアクセプターへの電子移動の途中で媒体分子に電子がいったん移動するのではなく,媒体分子のエネルギーレベルを仮想的に利用している.タンパク質を介した長距離電子移動を説明するために,ペプチド鎖ならびに側鎖のπ系がドナー・アクセプター間の波動関数混成に寄与していると考えられている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:39