自由エネルギーが減少する反応と共役して回転運動を起こすタンパク質を回転モーターと呼ぶ.バクテリアのべん毛モーター, ATP合成酵素のF1部分,Fo部分が知られている.バクテリアベん毛とFoでは,膜内外のH+,あるいはNa+のポテンシャル差によるイオンの流れを利用してcサブユニットが構成するリング構造が回転し,F1ではATPを加水分解して中心軸のγサブユニットが回転する.ATP合成酵素では,H+などが膜を介して輸送される際にFoのcサブユニットのリング構造が回転し、これに伴ってF1の中心軸のγサブユニットがATP加水分解の時とは逆方向に回転させられることで,ATPが合成される.F1部分のα3β3δ,および,Fo部分のaとbサブユニットに対して、F1部分のγεサブユニットとFo部分のcリング部分が相対的に回転して機能している.