日射エネルギー利用効率[solar energy use efficiency]

  植物の光合成による,日射の物理エネルギーから光合成産物の化学エネルギーへの変換効率.植物が受け取る単位日射量当たりの光合成生産量と定義されるが,日射は短波放射か光合成有効放射か,入射量と吸収量のどちらで表すか,光合成生産は総一次生産と純一次生産のどちらをとるかで計算値が変わる.たとえば葉で吸収された光合成有効放射エネルギー当たりの純一次生産量(炭素換算)で定義すると,単位はg C MJ-1などとなり,様々な生態系を平均すると, 0.3~0.7程度の値を示す.日射エネルギー利用効率は個葉の光合成能力に左右されるのは当然であるが,葉群の光学的特性や非同化器官による呼吸消費など複雑な要因に影響される.また,ストレスを受けて光合成速度が落ちると日射エネルギー利用効率も低下する.一般に,群落に入射する日射エネルギーのうち光合成反応に利用されるのはせいぜい1%程度とされるが,農耕地ではいかにして日射エネルギー利用効率を高めるかが収量に大きく影響する.日射エネルギー利用効率の概算値がわかっていれば,生育期間の積算日射量から成長量あるいは収量を見積もることができる.また,リモートセンシングによって日射の吸収率に基づいて植物の生産力を推定する際にも,この変換効率の値が使用される.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:20