植物ウイルス

植物ウイルス[plant virus]

　 植物に感染し増殖するウイルス．真核藻類や菌類に感染するものも含む．植物ウイルスの約90%が一本鎖RNAをゲノムとしてもち，残りは二本鎖RNAや一本鎖DNA，二本鎖DNAをゲノムとしてもつ．ウイルス粒子は，主に核酸とタンパク質から成る．宿主植物におけるウイルス病徴の発現は，ウイルスと宿主の組み合わせや，植物の生育段階，環境条件などの影響を受ける．主な病徴に，斑入り，白化や黄化などの退緑，壊死，発育阻害がある．病徴のある感染植物では，光合成速度の低下や糖の輸送の阻害が起こることが多い．伝染方法には，種子伝染，花粉伝染，接木伝染，媒介生物(昆虫，菌，脊椎動物)による伝染，汁液伝染などがあり，ウイルスの種類によって定まった方法をもっている．ウイルスは，核酸の種類や性質，分子量，粒子の形状，血清学的性質，伝染方法，宿主範囲などにより分類されており，現在1,000種近い数の植物ウイルスが記載されている．

最新の20件