窒素同化[nitrogen assimilation]

  硝酸イオン,亜硝酸イオン,分子状窒素,アンモニア,尿素などの低分子窒素化合物を外部から吸収し,アミノ酸,核酸塩基など生体に必要な有機窒素化合物を合成すること.硝酸イオン,分子状窒素などアンモニア以外の無機窒素化合物はまず還元されてアンモニアに変換された後に同化される.一方,尿素などは酵素的に分解され,生じたアンモニアが同化される.植物の葉や藻類,シアノバクテリアの明所での窒素同化では,還元力やATPは光合成の電子伝達反応によって供給されており,窒素同化が光合成の一部となっている.微細藻類やシアノバクテリアの窒素含量は植物と比べて数倍高いので(C/N=5〜7),窒素同化が光合成に占める比重は大きい.特に硝酸イオンのグルタミン酸への同化には10個の電子が必要なので,これらの生物が硝酸同化をする場合,水分解で得られる還元力の約3分の1を窒素同化に使うこととなる.微細藻類やシアノバクテリアは,一般にアンモニア存在下では硝酸同化を抑制してアンモニアを優先的に同化するが,アンモニア同化に必要な電子は2個と少ないので,これにより窒素同化に費やすエネルギーを大幅に節減することができる.高等植物は窒素含量が低いので光合成に占める窒素同化の比重は小さいが,強光条件下のC植物の葉緑体は光呼吸に伴って生成したアンモニアの再同化を活発に行っており,その速度は新規の窒素同化速度より数倍高い.高等植物は窒素源についてシアノバクテリアのような強い選択性を示さない.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:44