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*クロロフィルの吸収スペクトル[absorption spectrum of chlorophyll] [#l804ae44]
  [[クロロフィル]]には,クロリン骨格を有する[[クロロフィル'''a'''>クロロフィルa]], b, dとポルフィリン骨格を有する[[クロロフィル '''c'''>クロロフィルc]]類とがある.[[バクテリオクロロフィル'''c'''>バクテリオクロロフィルc]], d, eもクロリン骨格を有するので,単量体では,前者と同様の吸収スペクトルを示す.天然界では中心金属マグネシウムに対して,クロリン環面に対して垂直方向(アキシャル位)に1つだけ配位子を有する5配位型で存在する.マグネシウムクロリン型クロロフィルの5配位型の単量体における吸収スペクトルには, 650 nm 付近に大きなQ&subsc(y);帯と550 nm 付近に小さなQ&subsc(x);帯と400~450 nm 付近に大きなソーレー帯をもつ.Q帯(0,0)の短波長側には,より小さい(0,1)バンドが見られる.環状の共役'''π'''電子系に直接置換している官能基の影響によって,それらの吸収帯はシフトする.&br; 特に3位上のビニル基やホルミル基はQ&subsc(y);帯を長波長側にシフトさせ,7位上のホルミル基はQ&subsc(y);帯を短波長側に,ソーレー帯を長波長側にシフトさせる.これらの波長シフトはいずれも電子的な効果によるところが大きい.一方,20位上のメチル基は,Q&subsc(y);帯,ソーレー帯ともに長波長側にシフトさせる.これは立体的な効果による'''π'''電子系の平面性からの乱れによるところが大きい.まわりに存在する溶媒やタンパク質によっても吸収帯はシフトする.さらに,近傍にクロロフィル分子が存在すると,励起子相互作用によって,Q&subsc(y);/ソーレー帯ともに大きく変化する.光化学系Ⅰ反応中心-アンテナ複合体におけるクロロフィル'''a'''の二・三量体やクロロソームにおけるバクテリオクロロフィル '''c''',d,eの多量体がそれにあたる.マグネシウムポルフィリンであるクロロフィル '''c'''類は, 630 nmと580 nm付近に小さなQ帯と450 nm 付近に大きなソーレー帯がある.クロリン骨格を有するクロロフィルは,地球上に降り注ぐ太陽光の輻射が最も強い500~600nmの領域に大きな吸収帯をもたないものの,それ以外の可視領域に大きな吸収帯をもち,単量体では青から緑色の濃い色を示す.


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[吸収スペクトル]]
-[[バクテリオクロロフィルの吸収スペクトル]]
-[[クロロフィル類の吸収スペクトル]]

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