#freeze
*プロトン輸送(H&supsc(+);輸送)[proton transport] [#gf2499e3]
 生体膜における溶質の輸送やATP合成の直接のエネルギー源として,膜を隔てたH&supsc(+);の電気化学ポテンシャル([[プロトン駆動力>プロトン駆動力(H+駆動力)]])が用いられる(→[[化学浸透説>化学浸透説(化学浸透圧説)]]).H&supsc(+);輸送は[[プロトン-ATPase]] (→[[プロトンポンプ>プロトンポンプ(H+ポンプ)]])によるほか,電子伝達系においては酸化還元エネルギーを利用しても行われる.シトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体(ミトコンドリアや光合成細菌ではシトクロム'''bc'''&subsc(1);複合体),複合体Ⅰ(NADH-ユビキノンレダクターゼ),シトクロムcオキシダーゼ,光化学系Ⅱなどがその例である.&br; 一般に,H&supsc(+);輸送の機構には,ループ機構とポンプ機構がある.ループ機構では,一連の酸化還元反応によって膜の一方でH&supsc(+);が吸収され,反対側でH&supsc(+);が放出されることにより,H&supsc(+);輸送が起こる.ポンプ機構では,光吸収や酸化還元に伴うタンパク質の構造変化によりH&supsc(+);が輸送される.&br; ループ機構でプロトン輸送を行うタンパク質の代表は光化学系Ⅱである.チラコイド内腔でH&supsc(+);を発生し(2H&subsc(2);O→4H&supsc(+); + O&subsc(2); + 4e&supsc(-);),外側でプラストキノンの還元にH&supsc(+);を消費する(PQ + 2H&supsc(+); + 2e&supsc(-);→PQH&subsc(2);)ことにより,ループ機構でH&supsc(+);を輸送している.また,[[シトクロム'''b'''&subsc(6);'''f'''複合体>シトクロムb6f複合体]]('''bc'''&subsc(1);複合体)によるH&supsc(+);輸送も,
典型的なループ機構によることが明らかになっており,[[Qサイクルモデル>Qサイクルモデル]]と呼ばれている.&br; ポンプ機構で光依存的にプロトンを輸送するタンパク質としては,[[バクテリオロドプシン]]がある.バクテリオロドプシンはレチナール色素を結合したレチナールタンパク質で,光エネルギーを利用してH&supsc(+);を輸送する.これは光エネルギーにより色素が異性化し,これに伴ってタンパク質のコンホメーション変化が起こることによるもので,ポンプ機構の代表例である.その他に,シトクロムcオキシダーゼや複合体IによるH&supsc(+);輸送もポンプ機構によると考えられている.(→[[ATP合成酵素]])


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[化学浸透説(化学浸透圧説)]]
-[[プロトンポンプ(H+ポンプ)]]
-[[ATP合成酵素]]

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