#freeze
*二酸化炭素欠乏ストレス[CO&subsc(2);-limiting stress] [#z4ec82f5]
 光合成反応の最終電子受容体である二酸化炭素(CO&subsc(2);)が十分供給されないと,光合成反応は停止し,細胞はストレスを受ける.集光性クロロフィルによって受容された過剰な光エネルギーは,炭素同化反応で消費できず,一部は蛍光や熱として放出されるが,残りのエネルギーによって酸素分子が還元されて活性酸素種が生じ,光化学系などの細胞構成成分が損傷を受ける.またRubiscoの副反応であるオキシゲナーゼ反応によって生じたグリコール酸は,光呼吸によって還元力を消費しつつCO&subsc(2);を生成する.強光・乾燥条件で光合成を行うC&subsc(4);植物・CAM植物や, CO&subsc(2);濃度の低い水中で光合成を行う藻類などの水生光合成生物では,CO&subsc(2);欠乏ストレスに適応馴化するために,無機炭素(CO&subsc(2);または重炭酸イオン)を能動的に生体内へ取り込む機構(C&subsc(4);回路.[[無機炭素濃縮機構]])が発達した.CO&subsc(2);欠乏環境下で誘導されるCO&subsc(2);輸送体ならびに重炭酸イオン[[ABC輸送体]]がシアノバクテリアで知られている.シアノバクテリアでは[[カルボキシソーム]]が,緑藻では[[ピレノイド]]がCO&subsc(2);欠乏ストレスで発達する.光合成生物が受けるCO&subsc(2);欠乏ストレスの程度は,絶対的なCO&subsc(2);分圧によって決まるのではなく,酸素分圧との比やその時点での光強度に依存する.生物種によって値は異なるが,最適な光強度を越える光を受けると,結果的にCO&subsc(2);の供給が不足し,これが種々のストレスの原因となる.


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[光呼吸]]
-[[強光ストレス]]

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