#freeze
*沈水植物の光合成[photosynthesis in submerged aquatic plant]  [#w48c330e]
陸上の植物のように, 淡水に生育する[[沈水植物]]でも多様な光合成炭素同化を行うことが知られている. 水中ではCO&subsc(2);の拡散抵抗が高く(空気中の104倍), また水草が過繁茂した水中では, 日中には活発な光合成のため低CO&subsc(2);・高O&subsc(2);濃度環境となり, 光合成の制限要因となる. 淡水に生育する沈水植物でも基本的には[[還元的ペントースリン酸回路]]と[[光呼吸]]代謝が働いている. しかし近年, このような独特の水中環境に適応した, 溶存炭素を効率よく固定するための様々な機構を獲得した沈水植物の存在が明らかになっている. トチカガミ科のクロモ('''Hydrilla verticillata''')では低CO&subsc(2);濃度の水中で[[ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ]]や[[NADP-リンゴ酸酵素]]を初めとするC&subsc(4);光合成酵素の発現量の増大が起こり, C&subsc(4);光合成様の炭素同化を行うようになり, [[二酸化炭素補償点]]も低下する. しかし, 陸上のC&subsc(4);植物とは異なり[[クランツ型葉構造]]を持たず, 単一種の葉肉細胞の中でC&subsc(4);光合成様代謝を駆動させる. また, シダ植物のミズニラの仲間('''Isoetes howellii''')では,[[ベンケイソウ型有機酸代謝(CAM)]]に類似した炭素同化を行う. そのほか, アリノトウダイグサ科のホザキノフサモ('''Myriophyllum spicatum''')では炭素源としてCO&subsc(2);だけでなくHCO&subsc(3);&subsc(-);を利用し, ミゾカクシ科の'''Lobelia dortmanna'''やオオバコ科の'''Littorella uniflora'''は根系から水底の土中に溶存しているCO&subsc(2);を炭素源として吸収する.

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