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#freeze
*硫黄同化[sulfur assimilation] [#j6160228]
無機性の硫黄を吸収・代謝変換して有機性含硫黄化合物を合成することをいう.硫黄同化経路の最初の重要産物はシステインであり,この経路は硫酸イオンの吸収,硫酸イオンの硫化物イオンへの8電子還元,システインへの固定という3つの大まかなステップに分けられる.植物が硫黄同化に利用することができる硫黄源はほとんどが根から吸収される硫酸イオンである.吸収された硫酸イオンは長距離輸送によって植物の各組織・細胞に運ばれる.次に,細胞膜に存在する硫酸イオントランスポーターによって細胞に取り込まれた硫酸イオンは,一部は液胞に蓄えられ,また一部はプラスチドに輸送されて同化反応に用いられる.プラスチドに輸送された硫酸イオンは[[ATPスルフリラーゼ]]によって1 mol のATPを消費して高エネルギー物質である[[アデノシン5'-ホスホスルフェート]](APS)に変換される.次に,これは[[アデノシン5'-ホスホスルフェートレダクターゼ]]によって還元型[[グルタチオン]]を還元剤として亜硫酸イオン(SO&subsc(3);&supsc(2-);)に還元される.亜硫酸イオンは[[亜硫酸レダクターゼ]]によってフェレドキシンを電子供与体として[[硫化物イオン]](S&supsc(2-);)に還元される.この硫酸イオンの還元反応はプラスチドで起こると考えられている.一方,システイン合成に用いられるアミノ酸部分はセリンアセチル転移酵素によってセリンから生成したO-アセチルセリンに由来する.最後に[[システイン合成酵素]]の働きによってこのO-アセチルセリンと[[硫化物イオン]]が結合しシステインが生成する.この最後の2段階の酵素はプラスチドだけでなく細胞質,ミトコンドリアにも見いだされる.この硫黄同化系の制御は,硫黄栄養,ストレス,日周などの生理的刺激に応答して,転写レベル,フィードバック阻害やタンパク質複合体形成・解離その他による酵素活性調節などによって制御されている.
** 関連項目 [#if72ced0]
-[[硫黄代謝]]