シュート/ルート比[shoot/root ratio]

  高等植物の地上部と地下部の比のこと.特に草本において,この比は窒素環境や水環境によって大きく変化する.窒素が豊富な環境では,この比は大きくなり,逆に貧栄養な環境ではこの比は小さくなる.直感的には,富栄養ならば高等植物が必要とする窒素は少ない根でも十分吸収できるため,根の割合を小さくし,光合成に直接関係する地上部の割合を大きくしたほうが成長速度が大きくなるから,と理解できる.逆に,貧栄養の場合には必要とする窒素を吸収するためには多くの根を必要とするためにこの比は小さくなる,と考えることができる.しかし,成長にとって最適な比を推定し,現実の高等植物でそれが実現されているのかどうかを明らかにするためには,精緻な理論的解析と実験的が今後必要である.また,この比を変化させる生理的機構については,サイトカイニンアブシジン酸などの植物ホルモンの関与が示唆されている.強い水ストレスによってもこの比が小さくなることが知られている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:37