再生産過程[reproduction process]

  物質再生産過程と個体再生産過程に分けられる.前者は光合成植物が物質生産によって生産した有機物を,生産器官である光合成系(F系)の拡大に使用して拡大再生産をする過程をさす.門司(1960)の提唱.この過程によって植物は指数関数的な栄養成長を続けられる.門司は植物個体や群落を光合成系(F系)と非光合成系(C系)との複合体と見なした.F系で光合成によって物質が生産され(この過程を物質生産過程という),この光合成産物がF系とC系に分配されて各系の拡大生産に利用される.分配され新しい植物体が合成されるとき,光合成産物(純生産量)の一部が構成時に必要なエネルギーとして構成呼吸によって消費される(この過程を転形過程という).門司は物質生産過程と転形過程を含めた生育期間全体にわたる物質再生産の図式を,一年草,多年草,永年草,落葉樹,常緑樹に分けてつくり比較した.この図式に基づいて,光,水,温度などの環境要因のF系とC系への分配率への影響,分配率の変化による栄養成長への影響などの研究が行われた.後者の個体再生産過程は横井(1976)によって提唱された.光合成生産による有機物の一部を花,果実,種子などの繁殖器官に送って成長させ,自己の後継植物をつくって種の維持と発展をはかる過程をさす.横井は個体を葉や根などの物質生産に働く部分(物質生産部分)と花,果実,種子など次世代のために働く部分(個体再生産部分)という2つの複合体と考え,次世代の個体の生産に関するモデルを構築した.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:58