太陽の放射エネルギー[solar radiation energy]

 太陽から放射(輻射)される電磁波(可視・紫外・赤外線など)の全エネルギーをさす.太陽の放射エネルギーの起源は,太陽の中心部分で起こっている核融合反応である.太陽の中心の温度は約1.4×107Kであり,4個の陽子と2個の電子から1個のヘリウムの原子核ができるときに解放されるエネルギーが太陽表面に運ばれ放射エネルギーとなる.その全量は, 3.6×1026 Wに達する.地球が太陽から受け取るエネルギーはそのわずか4.55×10-8%である.地球の大気圏外において太陽光に垂直な単位断面積に入射される太陽の放射エネルギーは一定である.これを太陽定数と呼ぶ.約1.367 kW m-2 である.太陽放射のスペクトルは,表面温度約5,800Kの物体(黒体)が放射する光のスペクトルでよく近似される.可視光線(波長400~700 nm),紫外線,赤外線の全太陽放射エネルギーに対する割合は,それぞれ約37%,約12%,約51%である.光合成に直接関与する光は光合成有効放射と呼ばれ,波長380~710 nm の範囲にあり可視域とほぼ一致している.大気中に入射した太陽光のうち,約30%はそのまま反射され,約18%が大気内で,約50%が地表で吸収される.吸収されたエネルギーは最終的には温度約300Kの熱輻射である赤外光として宇宙空間へ放出される.この過程において多量のエントロピーが地球から宇宙空間へもち去られ,地球上に生命をはじめとする秩序がもたらされる.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:04