活性酸素種要求反応[active oxygens-required reactions]

  細胞成分の生合成,分解など,生体に必要な反応で活性酸素種を基質として必要とする反応.その例として,ペルオキシダーゼ反応,ペルオキシゲナーゼ反応がある.植物にはグアヤコールペルオキシダーゼのアイソフォームは数多く存在するが,その生理的意義が明らかにされているものは少ない.リグニン合成に関与するグアヤコールペルオキシダーゼは過酸化水素(H2O2)によって前駆体のフェニルプロパノイドを一電子酸化してフェニルプロパノイドラジカルを生成させ,生成したラジカルの重合によってリグニンが合成される.反応に必要なH2O2は,ペルオキシダーゼまたはNADPHオキシダーゼがNAD(P)Hなどの電子供与体を利用して酸素を一電子還元し,生じたスーパーオキシド(O2-)がスーパーオキシドジスムターゼによって不均化されて供給される.植物ホルモンのインドール酢酸を酸化する活性をもつペルオキシダーゼは,古くからホルモンの制御に関わると考えられているが,詳しい生理的な意義は不明である.病原菌に応答して誘導されるペルオキシダーゼも知られている.ペルオキシゲナーゼはヒドロペルオキシドもしくはH2O2を酸素供与体とし,基質に一原子酸素添加を行う.ミクロソーム画分に存在するペルオキシゲナーゼは,二重結合に一原子酸素添加を行い,不飽和脂肪酸をエポキシ化する.他にペルオキシゲナーゼ反応を行う酵素としては,シトクロムP450やシクロオキシゲナーゼなどがある.基質としてO2-を絶対的に要求するオキシゲナーゼ反応は知られていないが,酸素源としてO2-を利用できるインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼが知られており,スーパーオキシゲナーゼと呼ばれる.リポキシゲナーゼには,反応に伴いO2-を生成するものがあるが,基質としてO2-を利用することの証明はない.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:32