還元的カルボン酸回路,逆転クレブス回路とも呼ばれる炭素同化回路. Evansら(1966)により緑色硫黄細菌Chlorobium limicolaにおいて光合成CO2同化系として存在が提唱され,その後一部の紅色細菌,好熱性水素細菌Hydrogenobacter,嫌気性古細菌Thermoprotenusなどでも存在が報告されている.その起源は還元的ペントースリン酸回路より古いと考えられている.解糖系の一部とTCA回路を組み合わせたような回路で,還元型フェレドキシンを用いるピルビン酸シンターゼによりTCA回路に向かう反応とは逆にアセチルCoAからのピルビン酸合成を行う.緑色硫黄細菌ではPEPカルボキシラーゼによりホスホエノールピルビン酸(PEP)にCO2を固定しオキサロ酢酸を生成する経路が働いている.緑色硫黄細菌ではピルビン酸からホスホエノールピルビン酸への転換をピルビン酸・リン酸ジキナーゼが触媒する.オキサロ酢酸以降はTCA回路の逆転によってスクシニルCoAを生じ, TCA回路では非可逆的な反応であるスクシニルCoAから2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)の合成を還元剤として還元型フェレドキシンを用いる2-オキソグルタル酸シンターゼにより行う.クエン酸の開裂にはATP依存型のクエン酸リアーゼを用いてオキサロ酢酸およびアセチルCoAを生成する.